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読売新聞/2019/1/12 8:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190111-OYT1T50154.html

金正恩訪中/「米朝再会談」への地ならしだ

 中国との密接な関係を誇示し、2回目の米朝首脳会談に向けて、非核化協議を有利に進める狙いがあるのだろう。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が半年ぶりに中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。昨年6月の初の米朝首脳会談の前後も頻繁に訪中していた。
 金委員長は習氏に、「非核化の立場を堅持する」と述べ、米朝首脳の再会談で「国際社会が歓迎する成果を得られるよう努力する」と強調した。対米交渉では、「難関」が生じていると説明し、憂慮を表明したという。
 米国から対北朝鮮制裁の緩和や解除などの見返りを得られず、交渉が停滞していることに、不満を抱いているのは間違いない。
 元日に発表した「新年の辞」で金委員長は核兵器の製造・実験・使用・拡散をしない、との立場を示した。「米国が制裁と圧力を続けるならば、新たな道を模索せざるを得なくなる」と述べ、強硬路線への回帰も示唆している。
 問題は、すでに保有している核兵器や核物質などの廃棄に、一切言及していないことだ。
 国連安全保障理事会は、北朝鮮の過去の核実験や弾道ミサイル発射に対して制裁を科し、核廃棄を要求している。既存の核や弾道ミサイルに手を付けずに、制裁解除を要求するのは筋が通らない。
 核実験場の廃棄など、非核化の措置を小出しにして、米国から「相応の措置」を得るという戦術は、転換を迫られていると言えよう。核兵器と弾道ミサイルを破棄しなければ、地域に与える脅威をぬぐい去ることはできまい。
 習氏は金委員長に、中国が北朝鮮の後ろ盾となり、米朝対話を後押しする立場を強調したという。通商問題などで米国との対立が深刻化する中、北朝鮮への影響力を米国にちらつかせたのだろう。
 トランプ米大統領が金委員長との会談に前のめりになっていることは気がかりだ。
 ポンペオ米国務長官の昨年10月の訪朝後、高官級の非核化協議は進展していない。この状況で首脳会談を行っても、非核化の道筋を付けられるのか、疑問が残る。
 米国は、「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」を求める原則を堅持し、成果が上がるまで制裁を維持すべきだ。核兵器・核物質・関連施設の申告から廃棄までの工程表を作成し、具体的措置を迫らねばならない。
 日本など関係国と北朝鮮戦略で緊密に連携し、念入りな準備を進めることが求められる。


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