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産經新聞/2018/9/14 6:00
http://www.sankei.com/column/news/180914/clm1809140002-n1.html

「年内に平和条約」/領土棚上げ断固拒否せよ

 ■対露外交を再構築する時だ
 安倍晋三首相は、北方領土の返還実現に向け、対露外交を再構築すべきである。
 ロシアのプーチン大統領が12日、ウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」の全体会合で安倍首相に対し、「一切の前提条件抜きにして年末までに平和条約を結ぼう」と提案した。
 北方領土問題の解決を棚上げする呆(あき)れた話だ。プーチン氏はさらに、この平和条約に「全ての問題の解決を目指すと盛り込むことは可能だ」とも語った。
 ≪身勝手な提案に呆れる≫
 領土問題を棚上げすれば国境線が定まらない。互いの領土が画定しない条約は、そもそも平和条約の名に値しない。
 北方四島の返還なしに、日本が平和条約を結ぶことなどあってはならない。政府には、身勝手な提案に応じない断固たる姿勢を示してもらいたい。
 北方四島は日本固有の領土である。旧ソ連が第二次世界大戦末に中立条約を一方的に破って侵攻した。火事場泥棒の典型であり、ロシアが不法占拠を続けている。
 もしプーチン氏の提案に沿って平和条約を結び、日露間の問題解決を目指す条文を盛り込んでも、ロシアは「問題とは経済協力だ」と逃げ口上を繰り返すだろう。プーチン流の平和条約は四島返還を遠ざける罠(わな)である。
 ロシアは、クリミア併合などで欧米諸国から制裁を受け、経済的苦境にある。日本に領土は返還せず、経済協力だけがほしいというプーチン氏の底意が見える。
 プーチン氏は、東方経済フォーラムに、中国軍も初参加した、過去最大規模の軍事演習「ボストーク2018」をぶつけてきた。そのうえ、身勝手極まる提案である。日本が受け入れると考えているとしたら侮られたものだ。
 北朝鮮が日本に対し、拉致問題の解決や核・ミサイルの放棄なしに国交を正常化しようと提案するのと同じくらい非現実的な提案である。
 プーチン氏は、安倍首相が東方経済フォーラムで北方領土における日露の共同経済活動の推進を語った直後に狙いすましたように提案をぶつけてきた。計算ずくで安倍首相に恥をかかせたも同然で「思いついた」はずがない。
 明らかになったことは、共同経済活動をてこに日露間の信頼を醸成し、領土問題の打開を目指す安倍首相の「新しいアプローチ」をプーチン氏が意に介していなかった、という点である。22回も首脳会談を繰り返しても、とどのつまりはこのようなありさまだ。
 共同経済活動に基づく「新しいアプローチ」は思惑外れになったのではないか。
 気がかりなのは、対露外交の基本路線を否定されたにもかかわらず、政府の反応が鈍い点だ。
 ≪共同活動にこだわるな≫
 提案に応じないのは当たり前だが、もはや対露外交自体の練り直しが必要な局面である。
  安倍首相は、プーチン氏の提案の直後に、「領土問題の解決なしに平和条約はない」と明確に反論すべきだった。
 訪露から帰国した首相は、公明党の山口那津男代表に「北方四島の帰属を解決し、平和条約を締結するという基本に変わりはない」と語った。提案に乗らない考えを示したものだが、プーチン氏のねらいについて「条約締結への意欲の表れと捉えている」と述べた点はいただけない。
 ベトナム訪問中の河野太郎外相も「文句を言う筋合いのものでは全くない」と述べた。首相も河野氏も理不尽な提案に反論せずして何を主張するつもりか。
 日本の北方四島返還にかける熱意を、尖閣諸島の奪取をねらう中国や、竹島を不法占拠している韓国はじっと見ている。東方経済フォーラムで安倍、プーチン両氏の間に座っていた習近平中国国家主席はさしずめその一人だろう。国家主権にかかわる問題をうやむやにしては禍根を残す。
 政府は、共同経済活動にこだわるのをやめるべきだ。進行中の経済協力も本当に必要なのか。急ぎ見直したらどうか。
 四島占拠の違法性を改めて指摘し、返還を求めるのが先決だ。領土問題解決が前提の平和条約締結の交渉に戻す。それ以外はロシアに利益をもたらさないことを知らしめるときだ。四島返還が実現しない限り、本格的な経済協力は国益に反する。


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